神話1 〜 馬

かつて、山は海で雪が川だった。

馬は駆ける生き物だから、とくに山から愛されていた。ギムアクは馬を捕まえて尋ねた。

お前は首を切り落とされるか足を切り落とされるかどちらかを選べ。さもないと頭を空に突っ込んでお前の社に雷を落とすぞ。

馬は座り込むと仔馬に戻って叫んだ。

「カニアシク!カニアシク!」

空が揺れて大地が星となり時は雨粒になって降った。

サムラニゲスは顔を赤らめると岩に打ち付けて馬を粉々にした。馬は座り込むと仔馬に戻って叫んだ。

「カニアシク!カニアシク!」

森は縮まって太陽になった。月は婚礼の儀式を済ませると唇から血を吐いて目を丸くした。四角形が三角形に凌辱されて馬は粉々になった。

馬は座り込むと仔馬に戻って叫んだ。

「カニアシク!カニアシク!」

ギムアクは仕方なく馬を厚くもてなし平頭して片耳を鼻の中に押し込み、花が咲くその時を待った。村はすでに無くなっていた。

馬は座り込むと仔馬に戻って叫んだ。

「カニアシク!カニアシク!」

馬は座り込むと仔馬に戻って叫んだ。

「カニアシク!カニアシク!」

かつて、砂浜は草原で木々は鳥だった。馬は駆ける生き物だからしばしば叫んでは石を臓器にして雲を助けた。そのかわりに月が割れた。頭を塞いで腕を高く伸ばしなさい。赤子は馬に踏み潰されて岩に変わると我々の村の寝床となった。

 

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